元名鉄キハ8500系もあるよ!栃木県の『那珂川清流鉄道保存会』は凄い集団だった?
かつて名鉄の車両だった、特急「北アルプス号」で使われた車両「キハ8500系」
2016年現在、数多くの車両を保存する『那珂川清流鉄道保存会』にて保存され、外部のみ公開されています。
前々から足を運んでみたかった施設。栃木県までちょっくら見に行ってきました
という訳で、前日の行程の関係もあり朝の横浜駅からスタート。
宇都宮までは上野東京ラインを使って、乗換なしの楽々移動
朝から営業していた崎陽軒のシウマイ弁当を食って、のんびり栃木を目指します
するめいか!
ここからレンタカーでも使えば便利なのですが、今回は単独行動だったので公共交通機関を使います
那珂川清流鉄道保存会へのアクセスは、烏山線の終点「烏山駅」より、コミュニティバスに乗るルート
烏山線はおおむね2時間に1本というローカル線ですが、蓄電池駆動の「ACCUM」(アキュム)で有名になりましたね
車内の雰囲気とか乗り心地とかは、殆ど電車と変わらない感じなのですが
蓄電池駆動という特性上、普通の電車と比べて色々な所が機器類で埋まっていたりします。
非電化区間をバッテリーで走る電車に揺られること55分・・・
終点の烏山駅に到着。「とりやま」ではなく「からすやま」です
ACCUM(アキュム)は烏山駅に整備された架線より、折り返し発車時間まで充電中・・・
烏山駅の駅前にあるバス停より、コミュニティバスに乗り換え
鉄道ダイヤに合わせて組まれており、12分の接続で出発となります。
那珂川町コミュニティバス 馬頭烏山線「山村開発センター行」
平日は8本ですが、土日祝日は半分の4本しかありません!!
やはり地方の事情は厳しいなぁと思いつつ・・・。
休日の利用者はあまり居ないらしく、駅から乗ってきた私が珍しいのか運転手さんが声を掛けてきました
「1本で5人乗れば多い方」とか、「地元の高校が定員割れ」とか地元の事情を耳にする。
話のなかで、那珂川清流鉄道保存会へ行く事を伝えると「上大桶」バス停で降りる事を教えて貰う
烏山駅から約20分の運賃は440円でした。
で、バス停を降りました。こんな所に鉄道車両を保存する施設があるのかしら?
なお、ローソンはありました。
お昼ご飯の入手が困難かと思って食料は買っておいたのですが、大丈夫そうですね。
で、案内的にはこの「八溝会館」という葬儀場の隣にあるらしいのですが
これ入っても大丈夫なのだろうか?
明らかに葬儀場には関係なさそうな物体が見える
あ、ここで間違いなさそうだ
葬儀場の門とは別に、那珂川清流鉄道と書かれた案内が出ていました
そいじゃあ入ってみましょう。
なんだか三線軌条が敷設してありますが、ここは葬儀場です。
車は駐車してあるものの、葬儀場に人が居る気配が無い・・・。
モノレールっぽい車両の方を目指して歩くと、管理者の方(以降は「おばさま」表記)に会うことが出来ました。
事務所で入場料(1,000円)を支払いパンフレットを貰う
入口はモノレールが鎮座してレールの敷いてある葬儀場ですが、ここが鉄道保存会に間違いありません。
元々は工場があったそうですが、その跡地にて葬儀場と資材置き場として使っていたそうですが
その資材置き場が、気付いたらこんな状態になったいたそうです(おばさま談)
名古屋から来た旨を伝えると、おばさまはえらく驚いたうえで
「やっぱり北アルプス?」と話し、車庫の北アルプスの場所まで案内してくださいました。
かつての名鉄車両、特急北アルプスこと「キハ8500系」の姿がそこにあり!
鉄道車両をこうやって駅ではない所から見上げると、大きく見えるなぁー!!
このキハ8500系ですが、冒頭に書いたとおり名鉄の特急「北アルプス号」の車両としてデビュー
2001年に北アルプス号が廃止された後に、会津鉄道へと譲渡
その会津鉄道では2010年まで使用され廃車。この那珂川清流鉄道保存会にて保存という流れになりました。
パッと見ではまだ綺麗な車両ですが、側面とか見ると塗装がハゲている箇所がいくつか。
車両を購入して屋根の下で保存しているとはいえ、美しい姿を保つには手もお金も掛かるそうです。
こっちなんて、こんな姿になっちゃって・・・(おばさま談)
この鉄道保存会、運営母体について伺うと地元の「馬頭運送」という会社だそうです。
そして車両を集めたりと、主体となっているのはもちろん社長。
おばさまも馬頭運送の社員だそうですが、別に鉄道好きでも無くいつの間にか専任になっていたらしい
活動方針は、歴史的価値の高い鉄道車両を集めて、動かないものはレストアした上で保存する事。
運送会社にはトラックなどを整備する社員が居るため、その技術を応用して車両のレストアするという
「皆さん鉄道好きなのですか?」と伺うと、『いや、仕事としてやってますよ』とおばさま談
車両のレストアがどうしても優先になってしまうため、貨車などは後になってしまうそうだ。
志摩「この線路は・・・?」
おばさま「うちの社員が敷設しました」
志摩「葬儀場にモノレールとか線路があって、普通の人は驚きませんか?」
おばさま「やっぱり、遠くから葬儀のために来た人は驚きますね(笑」
※葬儀場も馬頭運送の運営
志摩「この車両なんか、遊園地の遊具みたいな感じじゃないですか」
おばさま「これは閉園になった安曇野(長野県)の施設から譲り受けました。」
志摩「これだけ車両を集めて、輸送とかお金が掛かるんじゃないですか?」
おばさま「これくらいなら、ウチのトレーラーに乗せられるし、休日に社員総出で回収に行きましたよ」
志摩「え、じゃあ乗せるのに必要なクレーン車もあるんですか?」
おばさま「ウチのがあります」
志摩「社員が乗るバスは?」
おばさま「もちろんあります」
ひぇー!
話を聞けば聞くほど「驚き」しか出てこない。
・運営母体が会社であり、(おそらく)資金がある
・車両を保存する土地がある
・技術を持った社員が居る
・時前での運送手段を持っている
様々な条件が揃ってこのレベルの展示と保存が出来ているようだ。
車両を集めてるだけかと思ったら、実は凄い集団による施設だったみたいだ。
ただ、やはり本業とレストアが優先のため、展示に関する部分は手が回っていない様子。
(動態保存車両はイベントの日などに動かすそうです)
他にも色々な車両とか貨車とか保存されてるのですが、面白そうなものをピックアップして紹介
こちらは貨車なのですが、自動車をそのまま乗せて運べるやつ。実物を見るのは初めてだ
何故か古い型式のベンツが乗ってます。
「赤岩口」と書かれてるので、豊鉄かな?と思って撮影
帰って調べると、北陸鉄道→豊橋鉄道→鉄道総合技術研究所と使用された経歴を持つ。
吊された状態で展示されている千葉都市モノレール
喫茶店として使おうと思って設置したものの、夏は暑くて冬は寒く実用に耐えなかったらしい・・・。
モノレールのレールを再現した訳ではないので、レールに使う機器は付近に鎮座
主に機関車が多い保存会ですが、寝台特急北陸に使われたブルートレインも置いてあります。
車両限界とか、そういうのあまり考えられず敷設した軌道上に車両を乗せたため
連結部とか結構大変な事になっている・・・。
なお、このブルートレインもレール上を別の場所へと動かすことがあるそうですが
脱線騒動はよくあるらしいです(おばさま談)
なお、脱線したら自社のクレーンを持って来て直すらしい。馬頭運送すげぇ!
1時間半ほどで保存会の車両を大体見終わりました。
ちょうどお昼時かつ他のお客さんも不在だったので、日陰のベンチで一緒にお昼ご飯を食べるなどしてました。
とても気さくな方で、車両について、そして運営の苦労話など様々な事を教えて頂きました。
お話を聞けなかったら、この那珂川清流鉄道保存会の印象は大きく違っていたかなと思います。
おばさまに別れを告げ、コミュニティバスのバス停へ
烏山駅行きの列車は休日3本のみ。約2時間滞在出来るので、公共交通機関でも何とか行けるかな?
そんなこんなで、那珂川清流鉄道保存会の話題でした。烏山から名古屋に帰るまでが遠いぞ・・・!
<関連リンク>
□那珂川清流鉄道保存会のWEBサイト