かつて存在した日本の巨大銅山。日光市足尾地区の「足尾銅山観光」で産業遺産を学ぶ
□この記事は『日本三名瀑に数えられる「華厳滝」へ行こう』の続きの記事です
江戸時代から昭和まで約360年間にわたり、多くの銅を産出した足尾銅山。
日本の近代化を支えたが「足尾鉱毒事件」が大きな社会問題となる。教科書で殆どの人は学ぶであろう
そんな足尾銅山ですが、現在はその坑道を使った観光施設として運営されており
江戸時代から閉山に至までの歴史を学ぶことが出来るようになっています。
華厳滝から、引き続き忙しない北関東観光の続きです。
中善寺温泉バス停から日光駅行きのバスに乗り、第一いろは坂を下る
ちなみに、いろは坂は「第一いろは坂」と「第二いろは坂」の2本が存在し
前者が下り専用道路、後者が上り専用道路となっています。(知らなかった)
バスで日光駅・・・まで行かず、途中の「細尾入口」というバス停で降ります
民家がちらほら存在するだけのバス停で、コンビニおろか商店もあまり見当たりません
こんな所で何のために下車したかと言うと・・・
歩いて数分の「細尾リンク入口」という停留所から、別のバス路線へ乗換えるためです。
お目当ては日光市営バスの「足尾JR日光駅線」という路線。1日6本という非常に数少ない路線ですが
これを使うと日光からわたらせ渓谷鉄道のある足尾地区へ行くことが出来るという、乗りつぶし的には有効な路線
よくこんな路線知っていたな、と同行の友人に話したら結構有名な路線だそうで。へぇ(知らなかった)
「本当来るんだろうか・・・」と心配になりながらバスを待つ
定刻より数分遅れてマイクロバスが到着しました。
長いトンネルを使い日光市の足尾地区へと向かうバス
乗車時間は40分弱と結構長いので、ここで駅弁を食べる事に。バス弁だこりゃ
足尾地区へ入ると、車窓からは鉄道(廃線)をはじめとした銅山の遺構が見えてくる
かつては賑わいのあった足尾銅山も、今やこんな寂しい状態になっているのか・・・。
コミュニティバスのような存在の市営バスですが、「足尾銅山観光」の目の前まで行ってくれます
(ちなみに最寄り駅である通洞駅からも徒歩圏内)
入場券ならぬ「入坑券」を購入して、さぁ足尾銅山へと向かいましょう
っと、何だこのトロッコ?
どうやら入口からはこのトロッコ列車に乗って、当時のように入坑するそうだ。
さすがにヘルメットとか作業着は不要みたいで
横に3人並ぶ事の出来るトロッコ。3人だと結構狭い
先頭の蓄電池式機関車(?)に引かれる形でゴトゴトと線路を進む
途中で先頭機関車を取り外し、坑道へと入坑します。
・・・って、これ客車だけで自走出来るんかい!
(ラックレール用の機関車だったらしい)
ゴォォォォっと走行音を坑内に響かせトロッコは進む
で、到着。
入坑と言っても、観光用なのでガチ深い所までは移動せず浅いところで下車
スタートからのトータル乗車時間はトータル5分という所でした。
こう見ると小さい坑道に小さいトロッコ列車
江戸時代の開山から昭和の閉山まで約360年掘り続けた坑道
地下なので立体的に坑道は伸びており、その総延長は1,200kmに相当すると説明書きがされていいます。
更に奥へと伸びるトロッコの線路は封鎖されており、入る事は出来ません。
あ、観光客が坑道の奥にある展示に気を取られているうちに、トロッコが後退して居なくなってた
メインの展示は、かつての坑道を実際に歩いて体験するというコーナー
ちょっと雰囲気が怖い等身大の人形が各所に設置されており、その時代ごとの作業風景をイメージ出来ます。
後期には工具が使われるようになった。当たり前か
どこからか漏れてくる湧水で坑道はびたびた。
時おり、首筋にぴしゃりと垂れてビクっとするのも楽しみのひとつ?
お弁当おじさん
一部だけではあるが、当時掘られた坑道へ今も足踏み入れる事が出来る
貴重でかつ、不思議な空間である。
展示は坑道だけではなく、パネルやジオラマなどを使った展示エリアもあり。
足尾銅山では銅の採掘のほか、その後の精錬まで行っていたため、地上には多くの工場が並んでいたそうだ
こちらは精錬施設などのジオラマ模型
この手の展示施設でお馴染みの「実物展示」
純度99.9%の銅インゴット20kg。見た目よりクソ重いぞ!
地金のレートは日々変動しますが、この記事を書いている時点でざっくり15,200円
当たり前ですけど、金銀に比べて当然ながら安いですね(1kg760円で計算)
展示をひととおり見終えたら、さっきトロッコ列車で入坑した坑道の入口まで戻ってきました
屋外にも展示場が色々あるのですが、あれ、次の列車の時間が迫ってる?
施設内で「足尾銅山を世界遺産に」というポスターを見かけましたが、
執筆時点では2015年に世界遺産へ登録されそうな産業遺産群には含まれていなかった足尾銅山。
世界遺産でなくとも、足尾銅山は負の歴史も含めて貴重な歴史的遺産であると思います。
アクセス的にちょっと大変な足尾地区ですが、この辺りを訪問時には是非とも立ち寄って欲しいスポットです。